memorize with storytelling

「記憶に残る学び」を実現する5つのストーリーテリング戦略

何かを学習する時、あるいはさせる時、「ストーリーテリング(物語で伝える手法)」を活用すると、学習内容は記憶に残りやすくなります。

何故なら、物語は私たちの注意を引きつけ、さらに感情を動かすから。事実の羅列を押し付けるのではなく、物語にして伝えることで、私たちは深く感じ、考え、理解することが可能に。結果、学んだことをしっかりと記憶に刻むことができるのです。物語をうまく活用すれば、普段なら「退屈でありふれた教訓だ」と感じられるような内容も、ずっと忘れられない体験へと変えることができます。

今回の記事では、学習コンテンツをもっと魅力的なものにする「5つのストーリーテリング戦略」をご紹介します。社内研修担当の方や教育関連の方、コーチングなどでお悩みの方も必見です!

 

 

 

戦略1:伝えたい相手を理解する

 

学習のためのコンテンツを作りはじめる前に、まず対象となる相手を深く理解しましょう。これは、学習者にとって親しみやすく、聞く意味のある物語を作るために欠かせない土台となります。

彼ら彼女らは、一体どんな人たちなのでしょう? 何を大切にし、どんな課題に直面しているのでしょう? そして、どのような変化を望んでいるのでしょうか? まずはここを考えることが重要です。

例えば、高校生に「時間管理の仕方」を教える場合。生徒が学業と課外活動の両立に苦労していることを知らなければ、内容が的外れになる可能性が高いですよね。時間管理の細々としたテクニックをいきなり紹介するのではなく、宿題や部活動、アルバイトなどを同時にこなそうとする生徒のエピソード、つまり物語をコンテンツに盛り込みましょう。そうすれば、課題に直面している高校生は「この話は自分に関係がある」と感じます。つまり「自分ごと」として感じられる実例を示すことで、自然と興味を引くことができるのです。もちろんこれは「高校生と時間管理」に限ったことではありません。

 

 

戦略2:達成したい学習目標を定める

 

魅力的な物語には定まった方向性(「火山へ指輪を捨てに行く」「過去へ戻って両親の仲を取り持つ」など)が必ずあります。それは学習コンテンツも同じ。「このストーリーで学習者に何を身につけてほしいのか」をはっきりさせ、目標がブレないように注意しましょう。

例えば、起業を支援する研修で「予算編成」を教えるなら、学習目標は「実店舗を開く時に予算をどう作るかを理解させる」ことになるかもしれません。

そこに目標を決めたなら、描くべき物語も見えてきます。登場人物が支出の優先順位をつけ、貯蓄し、起業に必要な費用計画を立てる。途中で予期せぬ経済的トラブルが起こるかもしれませんが、主人公は学んだ予算管理の原則を使って乗り越えていく、といった感じに。

このように学習目標が明確になっていれば、学習者の関心を引きつけやすくなり、必要な情報を効果的に定着させられます。

 

 

 

 

 

戦略3:説得力のある物語を作る

 

物語の形にはなっていても、情報を詰め込むだけでは魅力的とは言えませんよね。逸話やユーモア、フィクションをうまく取り入れ、学習者を惹きつけましょう。幅広いパターンに応用しやすい、シンプルな物語の流れを以下にご紹介します。

 

説得力のあるストーリーテリングの流れ

 

興味を引くフックで始める

物語の冒頭は、心をつかむために重要な箇所。学習者に「続きが気になる!」と思わせるような一言を入れてみましょう。例えば学習者へ呼びかけるような質問、意外な事実、好奇心を刺激する場面などが有効です。

具体例:「あなたの働く会社が、新しい会社と合併したと想像してください。あなたは次に何をしますか?」など。

 

共感できるキャラクターを設定する

学習者と同じような課題を持つ人物設定を作り、物語の主人公にしましょう。例えば、職場の人間関係や時間管理、ストレスなど、学習者が直面しそうな悩みを反映させるのがおすすめです。

 

学習者は課題を乗り越える姿に共感する

物語には必ず乗り越えるべき課題を設定します。経済的な困難や個人的な葛藤など、学習者が実感しやすいリアルな課題が望ましいです。さらに、登場人物の見た景色や聞いた音、感じたことといった感覚的な描写を加えると、物語がより鮮やかに、厚みを増して伝わります。

 

伝えるポイントは簡潔にまとめる

伝えたいことは、たくさんあるかもしれません。でも長すぎる話は結果的にぼんやりとした印象になってしまいます。ポイントを絞って簡潔に伝え、結末で鮮やかな解決を見せて強い印象を残しましょう。また、最後に解決策やオープンな質問を加えると、学習者の記憶により残りやすくなります。

 

 

 

 

戦略4:ビジュアルや音声などを活用する

 

物語の形になっていても、テキストだけでは伝わりにくいことがあります。画像や音声、動画を加えることで、物語はより没入感のある体験に変わります。

 

画像(イラストや図など)

数字と文字の羅列のような複雑な内容も、画像を使えばわかりやすく整理できます。例えばインフォグラフィックを使えば、特定のプロセスを視覚的に説明することも可能に。

 

音声

登場人物の感情や、物語の雰囲気を補足できます。歴史に関するポッドキャストのように、実際の声や効果音で場面をリアルに感じさせる方法もあります。

 

動画

物語を動画で描くと、学習者をより現実に近い状況に没入させられます。例えば、大学の学科を選ぶ学生を主人公にし、ビジネスの専攻に進んでリーダーシップを発揮する場面を見せる、など。主人公に共感する学習者は、物語の中で主人公が行った選択の結果を追体験し、自分の価値観や関心に沿っているか深く考えるきっかけを得られます。

 

また、見ている人が物語の進め方を選べるといったインタラクティブなコンテンツを使えば、登場人物の行動を学習者が選び、その結果をリアルタイムで体験できます。こうした仕掛けは、学びをより主体的で生き生きとしたものにします。

 

 

戦略5:学習者に参加を促す

 

学習者が物語に参加できると、学びはより楽しく、効果的になり、さらに批判的思考も育ちます。先述したインタラクティブなコンテンツを使えなくても、例えば登場人物が問題に直面したシーンで、学習者に解決方法を考えてもらう時間を設ける。それだけでも、より主体的な参加を促すことができます。これにより学習者の興味と集中力が高まります。

ゲームやクイズ、アンケートなども有効です。さらに対面授業であれば、学習者自身の経験や物語を共有してもらうことで、理解が一層深まりますし、ほかの学習者にもよい影響があるでしょう。

 

 

 

まとめ

 

優れたストーリーテリングは、人を楽しませ、学ばせ、そして長く記憶に残ります。記憶に残る効果的な学習コンテンツを作るには、次の5つの戦略を意識しましょう。

 

1. まず聴衆を理解し、共感できる物語を作る。

2. 明確な学習目標を設定し、物語に反映する。

3. 共感できるキャラクターと魅力的な展開を用意する。

4. ビジュアルや音声で学習者の感覚を刺激し、体験を強化する。

5. インタラクティブ要素で自主的な参加を促す。

 

これらを取り入れれば、学習コンテンツはより魅力的かつインパクトがあり、そして忘れられないものになります。ぜひ、挑戦してみてください!

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