共感のメカニズムを徹底解説
「伝え方を科学する」セミナーを大公開!

〜「伝え方の科学」セミナーをアドバタイジングウィークアジアにて開催〜

脳科学者中野信子✕コピーライター佐々木圭一✕simpleshow吉田哲

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(左から吉田哲、中野信子氏、佐々木圭一氏)
「伝え方はセンスではなく科学技術」

2016年6月1日東京ミッドタウンで行われた「アドバタイジングウィークアジア」にて、脳科学者の中野信子先生、「伝え方が9割」の著者でコピーライターの佐々木圭一氏、simpleshow Japan代表取締役の吉田哲がセミナーを開催。伝え方の科学的なノウハウを「脳科学」「言葉」「映像」という多角的な観点から語り、立ち見の観客が出るほど大盛況となった。3人の共通認識としてあるのは「伝え方はセンスではなく科学技術」と断言したのは吉田。仕事でのプレゼンテーションやプライベートでも使える、伝え方の科学的なノウハウとは一体どのようなものなのか。

※アドバタイジングウィークアジアとは?:http://www.advertisingweek.asia

【脳を制す者が政治を制すかもしれない】

中野先生は、脳科学的な視点で、「伝え方」次第で人の脳は反応が違ってくると述べた。ヒラリー・クリントン米国大統領候補を例に出し、彼女の写真や切り取られたテレビのワンシーンを見た人(特に男性)の脳にネガティブな反応が出た。しかし、長い演説をちゃんと聴かせると男性のネガティブな反応も薄らいでいったと言う調査結果を紹介。(2007年ニューヨーク・タイムズ紙に乗った記事。ヒラリー・クリントン氏の写真を男性、女性の有権者に見せた際、それぞれ脳がどのような反応をするかという調査結果を掲載し、全米で議論を巻き起こした)。つまり、次期大統領を目指す人物でさえ、短い言葉では有権者にポジティブなメッセージを上手く伝えきれていないと指摘。クリントン候補の「伝え方」には、改善の余地が大いにあり、今後「伝え方の科学」は政治にも大きく影響していく可能性があると述べた。

【脳には楽をさせよ!】

さらに中野先生は、実は人は意思決定を自分自身では行っておらず、外的な環境からの影響が大きいという。2006年にユトレヒト大学の研究チームが行った某有名飲料メーカーの実験について語った。映像の中に1コマにだけ、そのメーカーのアイスティーの映像を差し込み、人の視覚では認識出来ないくらいのスピードで視聴させたにも関わらず、脳の中では1コマの映像にも反応し、無意識でアイスティーに欲望を懐き、アイスティーを飲む人が増える結果となった。また、脳は、選択が多いことをストレスと感じるという。例えば脳にとって100個の内から1個を選ぶという行為は、残りの99%の可能性を捨てるということを意味し、脳はその責任と負担に耐えられないのだと話す。逆に脳に負担を与えない伝え方のコツがあり、それは「シンプルさ」だという。シンプルなメッセージであれば受け取り手の脳にとって負担のない「伝え方」となるようだ。

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【人のこころを動かすギャップ法】

佐々木氏は、「伝え方」によって人の気持ちは変わるという。「あなたが成功しなければ、アメリカも成功しない」というヒラリー氏の言葉を例にして、佐々木氏の提唱する伝え方のノウハウの一つ「ギャップ法」に関して述べた。「あなた」という個人に対して、国の「アメリカ」というような正反対の言葉を入れることによってギャップを作り、印象強い言葉によって心が動きやすくなるという。

脳科学的には、そのギャップが脳に「驚き」を感じさせ、その際に快感物質のドーパミンを分泌するという。ドーパミンは脳に快楽を感じさせ、その情報が喜びを伴い伝わるようになると言う。ドーパミンは身近な日常の中で起こる「驚き」でも脳が反応し分泌されるが、ギャップには適度なバランスが重要。ギャップが大きすぎると、かえってマイナスに作用すると中野先生は解説。

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【親しみと驚きを生むオーガニック・デジタルとは】

吉田はsimpleshowでも「オーガニック・デジタル」というギャップ手法を提唱し「驚き」のある映像表現を行っていると語る。ドイツや日本の大学機関との共同研究によって、脳が「驚き」を生む研究をノウハウ化している。ポイントは手書きのイラスト、モノクロ表現、そして本物の手を使用することだとした。

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フルカラーCGなどのデジタルな映像表現が主流の中で、敢えて切り抜いたシンプルな手書きイラスト(=Organic)を使うことで視聴者に親しみを生むと同時に、明度の高い組み合わせである白と黒の世界観で目立つインパクを与え、相対的に他のデジタル表現とのギャップを生んでいると説明。また、切り抜いたイラストを本物の手(=Organic)を使って動かしながら動画のシーンを展開して行くことで、
脳のミラー・ニューロンを刺激し、見る人の「共感」を高めるという。ミラー・ニューロンは1996年にイタリアの科学者ジャコモ・リッツォラッティが発見した脳の神経細胞で、別名「ものまね細胞」。無意識的に、相手の動作を自分の脳の中で鏡のように再現してしまう仕組みだが、simpleshowは実験を重ねミラー・ニューロンを適度に応用している。

これに関して、中野氏は脳の仕組みを説明。simpleshowの「オーガニック・デジタル」と言う手法もまた、脳内でドーパミン放出させるので見る人の心を掴んで離さなくなる上に、手を動かす際に使用される大脳皮質の領域は、実はミラー・ニューロンの領域と場所が近いため、手を効果的に使うことで、見る人のミラー・ニューロンをより強く刺激して共感を一層高めることができる。それがsimpleshowが持っているユニークな仕掛けの一つと述べた。

【共感のメカニズムとは】

続いてsimpleshow吉田が述べるには、見る人の関心を集めると同時に、「自分にも出来そう!理解できそう!」と言う「自己効力感」を生むテクニックが重要と語った。カナダ人心理学者アルバート・バンデューラによって1977年に提唱された自己効力感は、リハビリテーションの現場などで重視されている。自己効力感が高ければ高い程、モチベーションが生まれやすくなるからだ。simpleshowの動画は難解なテーマでも「物語」仕立てで紹介するので、視聴者はより高い自己効力感が味わえるという。

中野先生はここにもsimpleshowのもう一つ重要な仕掛けがあると指摘。それは主人公の成功体験的な物語は、見る人が自己投影しやすく、脳内にドーパミンを放出させ、快楽の感情を生むと同時に、脳にある「共感」の領域も刺激して脳内にセロトニンも放出しているのだと言う。さらに、親しみなどの感情を生む「共感」領域がある側頭葉では「文脈を読む」領域にも刺激が伝わるという。つまり難解なメッセージであっても、動画を見ながら、文脈を読み、共感を高めることができるので、複雑な情報を自己効力感の高い物語として人が受け入れるのではないかと説明。

また、自己効力感は選択肢を明確にすることが重要な要素だと語る。選択肢を限定し脳の負担を軽減することで、「自分で考えて決定した」と錯覚し行動に促されるのだと言う。反対に、全ての情報を与えられた環境では人の脳は反応が鈍化してしまうそうだ。

これを受けて佐々木氏は、コピーライターの観点から自著「伝え方が9割」で書いている「選択の自由」のテクニックを紹介。例えば女性をデートに誘うとき、敢えて日付を数字指定し、相手に「選択の自由」を与えることで、自己決定がしやすくなり、結果デートを断られることが少なくなるという。

【まとめ】

「伝え方はセンスではなく科学技術」をテーマにした本セミナーでは、聞き手を自発的に行動に移すノウハウ、そして脳のプロセスが明らかとなった。「シンプル イズ ベスト」と格言にあるように、脳にとって「シンプル」が一番心地よく、マーケティングにおいても最善の策のようだ。また、アナログとデジタルの掛け算で脳を刺激しながら共感を高めていくsimpleshowのノウハウ「オーガニック・デジタル」は、デジタルが全盛な現代社会において、伝え方が進むひとつの道を指し示していると言えるのではないだろうか?

本セミナーで紹介された「伝え方の科学」を、ビジネスシーンはもちろん、恋愛や政治など様々なコミュニケーションの最前線で、ぜひご活用頂きたい。

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