2018年「物語」で消費者の心をつかむ!

聞き手に伝えたいことを「物語」で印象付ける手法「ストーリー・テリング」が、マーケティングの世界で注目を集めています。でも、「ストーリー・テリング」は、単なる一過性のブームではありません。

「ケン君は6つのアメの中から、3つを妹にあげました」なんてお話、聞き覚えありませんか? 大昔からどの国にもある「おとぎ話」。

最後はお決まりの「教訓」で幕を閉じますよね。実は、あの聖書もキリスト教の価値観が描かれた壮大な「物語」。すべてに「ストーリー・テリング」のテクニックが取り入れられています。

しかし、「物語で伝える」ことは、なぜ有効なのでしょう? 単なる情報の羅列と、物語との違いは、一体何でしょうか? simpleshowが、科学的に解説します!

「物語」が感情に訴える仕組み

人が数字のデータを見た時、活動する脳の領域は2つ。しかし、「物語」を見聞きしている時には、味覚、嗅覚、触覚、身体の動きをつかさどる神経系など、7つもの領域が活動しています。

例えば、映画で崖から落ちそうになっている主人公を見ると、自分が危険なわけではないのにドキドキしませんか? おいしそうに食事をしているシーンを見ると、自分も唾液が出て、お腹が空きます。つまり「物語」は、感情に訴える力があるのです。

人は、日常生活において「喜怒哀楽」の感情が起こります。そして、食欲や性欲などの本能が満たされた時だけでなく、ギャンブルや絶叫マシン、仕事の成功、買物などにおいて、脳内にドーパミンという神経物質が放出されて、「快楽」を感じるのです。「ワクワク」や「ドキドキ」といった快感を生み出すのは、脳の報酬系と呼ばれる仕組みに由来します。

そして「物語」も、脳の報酬系を活性化するのです。小さい頃に読んでもらったお気に入りの絵本を鮮明に覚えていたり、サスペンスドラマを見はじめたら最後までテレビの前から動けなくなったりするのはこのため。「物語」は、脳内で快楽物質ドーパミンを生み出し、人の感情を高めるのです。

「好き嫌い」などの感情は、脳にある扁桃体が判断します。脳には、忘れてもよい記憶と覚えておくべき記憶を仕分けする、海馬という器官がありますが、扁桃体と海馬は隣同士。感情を伴う記憶は、扁桃体が海馬を刺激するため、思い出として脳に強く定着することが様々な研究からわかっています。「ストーリー・テリング」を活用できれば、より強く、より長く、記憶してもらえるということです。

「物語」が人の行動を決める

アメリカの神経学者 リード・モンタギュー(1960〜)は、コカ・コーラ好きの被験者を集め、ブランド名を知らずに飲むグループと、知った上で飲むグループに分けて、それぞれの脳内活動をMRIで計測しました。すると、ブランド名を知った上で飲んだグループは、知らずに飲んだグループよりも「おいしい」と回答する率が高く、さらに、脳内では前頭葉が活発に働いていたのです。前頭葉は、複雑な思考や評価、自己イメージに関係する部位。ペプシが好きな人でも同様の実験を行いましたが、脳に顕著な活動の違いは見つかりませんでした。つまり、コカ・コーラの実験の時は、そのブランドイメージが、「おいしい」と感じさせたことになります。

この実験から、「コカ・コーラの広告メッセージは、長年をかけて消費者を感化し、個人の選択に関わる脳の領域に影響を与えたのだ」という結論が導き出されたのです。では皆さん、コカ・コーラといえば何を思い出しますか? 多くの人は、ある時は爽やかに、ある時はセクシーにコカ・コーラを飲む、若い男女の「物語」のCMではないでしょうか?

また、アメリカの神経学者 ウィリアム・ケースビア(1969〜)とポール・J・ザック(1962〜)の研究でも、「物語」が人間の行動に影響を与えることが明らかになりました。被験者は、病気にかかった2歳の男の子に関する悲しい動画を、見るグループと見ないグループに分かれます。動画を見た人々は、神経伝達物質オキシトシンが脳から分泌され、その血中濃度が高い被験者の方が、その後、お金を寄付する確率が高くなりました。オキシトシンは、「親しみ」や「共感」を司ることで知られるホルモンの一種です。

この実験は、聞き手を「共感」させ、行動に具体的な影響を与える効果が、「ストーリー・テリング」にあることを実証しています。

マーケティングに「物語」が必要な理由

では、具体的にどうすれば「ストーリー・テリング」をマーケティングに活用できるのでしょうか? ショッピングを例に挙げましょう。食品でも、洋服でも、携帯電話でもかまいません。現実の世界では、製品の手触りはもちろん、店の香り、BGM、照明、そして感じのよい店員など、五感のもたらす感情が、購買意欲を大きく左右します。

しかしインターネット上では、写真と製品説明、無機質な数字とデータ以外、買い手を刺激するものはありません。購入を決める要素が感情に左右されることは、売り手にとって大きな問題。つまり、あの手この手で「物語」を伝え、感覚を刺激する必要が出てくるのです。

simpleshowの作品でいうと、JALカードショッピングマイル・プレミアムがよい例になるでしょう。

この作品はJALカードのオンラインサイトで公開されており、JALカードの初期顧客や潜在顧客を対象にした、有料オプションサービスの加入促進を目的としています。

「JALカードユーザーのモリさんは、ショッピングや公共料金など日常生活でJALカードを利用しています。マイルを貯めて旅行に行きたいと思っていますが、少しずつしかマイルが貯まりません。もっと効率よくマイルを貯める方法はないのでしょうか?」

「モリさんは、JALカードショッピングマイル・プレミアムに加入すれば、マイルのたまるスピードが2倍以上になり、特約店で買い物をするとマイルがもっと効率良く貯まることを知って、早速入会。来年にはマイルで念願の沖縄に行けそうです……」

JALブランドに対するブランドイロイヤリティーが既に高いJALカードユーザーであっても、初期顧客の多くが感じている共通の悩みがあり、その代弁者がモリさんです。

たった2分の動画を見ただけで、感情を刺激された視聴者はモリさんに共感を抱き、自分も同サービスを理解できて、利用していないのがもったいないと考えるようになります。そして、Webサイトの入会画面へ自然に進んでしまうのです。

つまり……

ブランドイメージでも、チャリティーでも、金融サービスでも。

複雑なトピックを記憶してもらい、共感させたいなら、「ストーリー・テリング」ほど、有効なものはないのです。日々の仕事で、思い通りに伝わらず、困っているテーマはないですか?

「物語の力で伝えてみたい」と思ったら、いつでもWebサイトのお問い合わせフォームか、お電話でご相談ください!!

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